【重要】ダウン症児の医療介入:甲状腺疾患編

皆さん、こんにちは。すおいです。m(__)m
前回は、ダウン症に合併して現れる合併症と、その頻度等を各科別で紹介しました。
ある程度は、合併症の全体像と病院で受診すべき科がどこなのか、が見えてきたのではないでしょうか。
今回は、ダウン症児が高頻度で関わる合併症の一つである「甲状腺疾患」についてです。
現在、ひー様も定期的に検査を受け、TSHとfreeT4の値からチラージンSの量を調整して甲状腺のバランスを保っています。。。
と言う説明を聞いても多くの方がワケワカラン(- -)???状態だと思いますが、この記事を読んでいけばわかるようになって、病院でもなんとか付いていけるようになりますよ( ´∀` )V

ダウン症児の甲状腺疾患


アメリカのPierc(ピアース)らによる検討報告
ダウン症患者(日齢18~26歳)、508名の内120名が何らかの甲状腺疾患を持っていた。
甲状腺疾患罹患率は24%となる。

トルコのTuysuz(ツイーズス)らによる小児期に限定した検討報告
ダウン症患者(日齢5~10歳)、230名の甲状腺疾患の有無について検討したところ、90名が何らかの甲状腺疾患を持っていた。
甲状腺疾患罹患率にして28%
以上の事から、ダウン症患者は、甲状腺疾患を合併する頻度が非常に高いと言える。

加齢に従い合併する頻度が上昇する。


カプラムマイヤー曲線と言うそうです。
※縦軸↑:罹患頻度 ※横軸→:年齢 を表しています。
グラフを見れば一目瞭然!年齢が上がるにつれ、甲状腺疾患の罹患率が上昇しています。
成人期に至ると平均で50%強の人が甲状腺疾患に罹患しています。かなりの高頻度です!!

甲状腺機能に関するホルモン

・甲状腺刺激ホルモン(TSH)
-脳下垂体から分泌されている。(頭から分泌されているイメージ)
-甲状腺ホルモン分泌を促進/抑制する効果。
※促進と抑制の両方の性質を都合よく持っているのではなく、実際には分泌の強弱を促進気味に働いたり、抑制気味に働いたりすると言う意味。
車に例えると、スピードをアクセルだけでコントロールするようなイメージです。

・甲状腺ホルモン(freeT4,freeT3)※特にfreeT4が重要なので、以下は甲状腺ホルモン=freeT4とする。
-首にある甲状腺から分泌される。

甲状腺機能が正常=freeT4の量がちょうどよい状態
-甲状腺ホルモン(freeT4)が適度に分泌されているので、甲状腺ホルモンの分泌を促す甲状腺刺激ホルモン(TSH)も適度に分泌されている。

甲状腺機能が低下=freeT4の量が不足している状態
-甲状腺ホルモン(freeT4)が足りていないので、甲状腺の分泌量を増やそうと甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌が上昇する。

甲状腺機能が亢進(強くなる)=freeT4の量が多い状態
-甲状腺ホルモン(freeT4)が過剰な状態をさす。
甲状腺ホルモン(freeT4)を減らすため、甲状腺刺激ホルモン(TSH)はほとんど分泌されない

甲状腺機能異常のまとめ

上で説明した甲状腺機能異常の状態を表にまとめると↓この様になります。

甲状腺機能低下症(freeT4の値が低い)の場合には、freeT4の数値に合わせた量のチラージンSを内服し、過度に分泌されているTSHを抑制し、正常値に近づけて行きます。

ダウン症児の甲状腺機能異常の分類を表にまとめると↓のようになります。

表の内容を個別に説明していきます。
先天性甲状腺機能低下症
・健常児の場合約2500~4000人に一人
・ダウン症児では概ね100人に一人。健常児の約30~40倍高い頻度。
・男女差はなし
・発症の原因:
「そもそも甲状腺が存在しない」や、「甲状腺は存在するがホルモンを作ることができない」など様々な場合が考えられるが、ダウン症児では「甲状腺の低形成」つまり「甲状腺そのものが少し小さい」ことが、甲状腺ホルモン不足を引き起こす場合が多いと言われている。
・数値のパターン:典型的なパターン⇒【 TSH 上昇、freeT4 低下 】
・甲状腺ホルモンは特に2歳くらいまで神経発達に大きな影響を与えるため、診断されれば直ちにレポサイロキシン(チラーヂンS)の内服を開始する。

後天的甲状腺機能低下症
基本的な病態は健常児のものと変わりないが若干異なった特徴はある
・先天性甲状腺機能低下症と同様、ダウン症児では発症頻度が高い
健常児では約100~1000人に一人だが、ダウン症児では約80~300人に一人の頻度。
・健常児では女児の方が発症頻度が5倍くらい高いが、ダウン症児では発症に性別差はない。
・発症年齢についても違いがあり、健常児では平均で11.1歳に対し、ダウン症児では6.5歳とより若年である。
・発症の背景:健常児では甲状腺疾患の家族歴があることがほとんどだが、ダウン症児では家族歴がなくても発症することがよくある。
・検査値:【 TSH 上昇、freeT4 低下 】
・先天性甲状腺機能低下症と同じく、このような値を見れば、直ちにレポサイロキシン(チラーヂンS)の内服を開始する

顕性甲状腺機能低下症
症状や所見には表れない程度の軽い甲状腺ホルモンの過不足状態のことを指す。

潜在性甲状腺機能低下症
※ダウン症児でもっとも頻度が高いため重要!!
しかし、この状態についての正しい定義や解釈などがまだ定まっておらず、エビデンスがない
・ダウン症児では約5~10人に一人がこの状態であると言われている。
・検査値:【 TSH 軽度上昇、freeT4 正常 】
しかし、❝軽度上昇❞について、「正常値0.5~5に対し、6の値で異常」と認めたり、「8程度までは許容範囲とする」と言う意見があったり、「10を超えれば異常と認める」など様々である。
代償性甲状腺機能低下症ともいう。
※原因は不明だが、解釈は2通りある。
① 代償性甲状腺機能低下症とする説:
TSHを少し上昇させることで、甲状腺機能を励まし、甲状腺ホルモン値を正常値化させている。
この解釈をするなら、この状態は厳密に言えば❝病気❞としてとらえてもよい解釈となる。
② 正常範囲内とする説:
ダウン症児ではこのくらい数値上昇しているのが普通であるとする解釈。
ダウン症児の採血をして、甲状腺機能検査をした場合、TSHの値 0.5~5を正常値として、0.1でも高い(例:5.05とか5.1)と❝異常❞とみなすのであれば、相当数のダウン症児がTSHの値が上限値を超えている。
ダウン症児のみを対象としたTSH値の正常値はないが、おそらく健常児よりも高いことが推察できる。
よって、健常児の正常範囲をわずかに超える値のTSHの上昇は、もしかしたらダウン症児にとっては正常なのかもしれない
もちろん、10とか20を超えてしまうのは異常であり、6~8辺りの数値の場合についての話である。
このように、「病気よりの解釈」と「正常よりの解釈」があるので、チラーヂンSの内服を直ちに行うか議論が分かれるところであるが、一般的にはTSHが10を超えたときに治療対象とすることが多い。
また、TSHが10を超えていなくても、甲状腺腫大している症例甲状腺ホルモン(freeT4)の値が低い場合には加療を開始する場合もあるなど、治療開始基準についても曖昧である。
・解釈や治療開始基準などにも様々あるが、70%くらいは学童期までに正常化するかもしれないと言う報告もある。
数値が微妙な場合、治療内服を開始せずに慎重な経過観察のみで自然と正常化したり、また微妙だが治療を開始したケースにおいて、その治療中にチラーヂンの増量が全く必要ないときには一度休薬できるかもしれない。

(後天性)甲状腺機能亢進症 【※バセドウ病】
日本のダウン症児におけるバセドウ病罹患率の報告がないため詳細は不明。
欧米の報告では、ダウン症児の0.3~1.6%60~300人に一人)が罹患しており、明らかに健常児よりも高い頻度ではある。
健常児では女児の方が発症率が5倍多いのに対し、ダウン症児では性別差はない。
健常児のバセドウ病と比較して約7倍程度高い確率で“甲状腺機能低下症が先行していた”ケースがある
甲状腺疾患のような自己免疫性疾患の合併が健常児の約3倍高いと言われている。
(例:バセドウ病、関節リウマチ、橋本甲状腺炎、1型糖尿病など)
甲状腺機能亢進症の診断が付けばメチマゾール(市販名:メルカゾール)の内服を開始する。
治療薬による治療反応は良く効果は出るが、完全寛解しにくい

ダウン症児の甲状腺機能異常のまとめ


甲状腺機能異常症の罹患率は高く、また当初正常であっても加齢に伴い罹患率は上昇するため、生まれつきに異常を指摘されて治療をしている人はもちろん、異常を指摘されていないダウン症児でも、定期的な検診や血液検査が重要であり必要となります。

今回で、ダウン症児への医療介入についての備忘録は終了です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想やアドバイスなど、一言二言でも結構ですのでコメントを頂けたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします✋
Hẹn Gặp Lại(またね)
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三年間の妊活(不妊治療)を経て,40歳にしてパパになることができました。 ダウン症や心臓の病気を持って生まれ、一生懸命に生きる愛娘ひー様と初めての子育てに挑戦中!これを機に,今までやったことのない事などにもチャレンジして「何かを始めるのに遅過ぎることはない」を実践していきたいと思います!!

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